ブルシットジョブから学ぶ分析の進め方

一般教養の本

kofaです。

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論の読書録の続きです。

前回は要約をしてみたので、本書の内容に関心があれば、読んでみてください。

今回は、いつもと嗜好を変えて、ブルシットジョブの構成から分析の進め方について考えていきたいと思います。

というのも、ブルシットジョブの本書の構成が、理想的な分析だなー、と感じたもので。

その観点で読み解いてみるのも一興ということで、さっそく内容に入っていきたいと思います。

ブルシットジョブの分析の流れ

ブルシットジョブの流れを大まかに整理すると以下の感じかと思います。

20220326 ブルシットジョブ分析進め方 Ver0.1 by kofa

これをフレームにして考えていきます。

whatの分析

  • 肯定・否定なく起きている現象をフラットに分析して解像度を上げていく分析
  • 対象がどんな影響(肯定・否定)をもたらすかの分析

の2ステップの構成になっています。

1ステップ目の起きている現象をつらつらと詳述するのが第一章と第二章。

  • ブルシットジョブはいったい何なのか?(第一章)
  • ブルシットジョブにはどんな種類があるのか?(第二章)

を解き明かすことによって、ブルシットジョブの解像度を上げて、ブルシットジョブの現象としての理解を深めます。

もちろん、書籍であり、ストーリーなので次の章につなげるために否定的見解は含まれていますが、基本的には起きている現象を詳細に分析することが目的です。

2ステップ目の起きている現象(ブルシットジョブ)がどんな影響を引き起こしているかについての分析が、第三章と第四章。

なんとなく、この現象は悪そうだなぁではなく、どう悪いのか?なぜ悪いのか?について分析をしています。

現象としては観測されても、なんら悪さをしていないのであれば分析対象として重視する意味もないですから、分析する意義を検証しています。

whyの分析

第五章、第六章、第七章では問題(ブルシットジョブ)の原因の分析をしています。

原因については、経済的インセンティブ(第五章)、文化的インセンティブ(第六章)、政治的インセンティブ(第七章)の観点で分析を試みています。

一般になぜその問題が発生しているかの原因を理解し、それがコントロールできる要素であれば、何らかの解決策を導けます。

お医者さんの例が良く使われますが、痛みや熱の原因がわかれば、その原因に対して内科的処置、外科的処置を施すイメージです。

本書でもその流れを汲んで、第七章の後半で解決策についての議論がなされています。

社会科学の分野では常識なのかもしれませんが、個人的に示唆があるなと思ったのが、第六章の原因に対しての問の立て方です。

第五章は「なんでこんなことが起きているのか?」という素直な問の立て方をしています。

一方、第六章では「なぜ、解決に向けて動きがないのか?」という、問の立て方をしています。

原因を把握できるかどうかに関わらず、なにがしかの処置をすること自体はできるはずです。

にも拘わらずそういった動きがみられない、もしくは鈍いのであれば、動きが無い/鈍い理由が問題が存在することを許している理由になるということですね。

つまり、発生起源とは別の観点での問題が存在する理由ということですね。

所与のものをセルフチェックすることのススメ

20220326 ブルシットジョブ分析進め方 Ver0.1 by kofa

この分析ステップが理想的だと思いますが、実際のプロジェクトではこのステップの途中から入ることがほとんどだと思います。

例えば問題の種類、その影響については所与のものとして、原因分析から入るというケースが多いかなと感じます。

一方で、左側の工程ほど分析品質への影響度合いが大きいので、本当にそれが所与のものとしてそのまま受け取っていいのか?というのチェックしておくべきです。例えば、

  • 問題の分析が甘い
    →例)問題が足元の問題に終始してしまっていて、取り組むべき中長期的な観点が抜けてしまっているなど
  • 影響の分析が甘い
    →例)取り上げた問題と同等の影響度で、より解決しやすい問題がスコープから抜けてしまっているなど

自分が取り組んでいる一個前の工程について、この前提で良いかどうか不安であれば検証をしたり、論理構造を再構築を試みるなどセルフチェックすることをお勧めします。

なぜ解決しようとしないのか?を問うことのススメ

ブルシットジョブの分析では、問題の原因について、発生する要因と、解決しようとしない要因の二つがあることが示唆されています。

データ分析においては、何らかの問題(売上、コストなどの増減)があり、その変動がなぜ起きているかの要因を分析することが多いと思います。

つまり前者の発生する要因を分析することが多いということですね。

一方、それなりの分析結果を出しても、意思決定が(うまく)できなかったり、アクションが(うまく)実行されなかったりということは、ままあります。

想定するに、「解決しようとしない要因」についてが手つかずになってしまっているからではないでしょうか。

この件については、組織・体制や業務プロセスなど分析とは離れたところの問題に帰着される可能性が高いことが考えられます。

そして、分析から導かれた意思決定やアクションをとってもらうためには、その要因に対して解決策を提示することが必要ということになります。

データサイエンティストにどこまで役割を求めるのかというのは議論の分かれるポイントだと思いますが、意思決定してもらうまでコミットするという立場では、分析結果を活用してもらうまでを役割として担うべきかと私は考えています。

データサイエンティストにコンサル的スキルを求められる風潮なのも、実行までコミットすることが求められていると理解すれば納得できます。

おうちに帰るまでが遠足、実行するまでがデータ分析ってことですね。

まとめ

こういった社会科学の一つのテーマを深く論じている本は分析の進め方についての勉強になることが多いなというのはなんとなく感じていたところでした。

ということで、今回はブルシットジョブというテキストを使って分析の進め方について考えてみました。

この手の一つのテーマを深く論じていくような本は読むこと自体が大変なところではあるんですが、大まかにどのように分析を進めているかということをイメージしながら読むと、少し読みやすくなるかなという印象です。

皆さんの読書の一助になれば幸いです。

また別の本でもチャンスがあれば、記事にしてみたいと思います。

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