斎藤道三の生き方からキャリアと哲学を考えてみた

一般教養の本

kofaです。

この本読みました。

国盗り物語(一~四) 合本版

小説はあまり読まないんですが、歴史小説は勉強になる点も多いので息抜きがてら読みます。

前半が斎藤道三で、後半は織田信長です。

とにかく前半の道三パートが面白い。信長パートはおまけくらいの感じです。

道三は日蓮宗の僧侶から、商人を経て、最後は美濃の戦国大名まで駆け上がります。

その過程ではいろんな決断があるんですが、その決断の裏側には思考の痕跡があって、戦略家の側面が垣間見えます。

美濃という土地を選ぶ、商人という職業を選ぶなどなど、様々な意思決定の局面で、天下をとるためにはどうすべきか?という観点での思考があります。

思考は詳細なファクトに基づく深い洞察がありビジネスマンとして見習いたい点が多々あります。

戦略家としての側面だけでなく、日蓮宗(法華経)の人間観に元ずく洞察から人心掌握にも優れており、マネジメントもしっかりこなしています。

時代背景が違いますが、斎藤道三の生きざまには学ぶポイントがたくさんあるなと思いました。

今回は人生への活用というところを意識して、キャリアっぽい話と、哲学っぽい話を意識して記事にしてみました。

斎藤道三の生きざまから考えるキャリア

目標から逆算してポジション戦略を考える

国の守護大名、豪族などの家政がみだれ、仲間で相争っているという国がいい。そのうえ、英傑の人物がおらぬ、ということ(おれがその国を興して英雄になるのだから)。だからこそ、自分の野望をはばむような土着の英雄がいてくれては都合がわるいのである。

国盗り物語(一~四) 合本版

斎藤道三は天下を取るためのステップとして、まずは戦国大名になり一国を治めることを大きな目標として目指しますが、じゃあどこの国を治めるの?についての一つの条件です。

目的達成しやすい場所で戦うっていうのはポジション戦略ですよね。

出場機会が狙いやすい外野手として戦うとか、成果の出しやすい研究領域を狙うとか、目標に対しての成功の確度を上げるためにどこで戦うかを考えるっていうのはキャリアを考える上でも大事ですよね。

とはいえ、目標あってこそのポジション戦略なので、人生の目標をたてて、そこから逆算して今この時、どこで何すべきかなのか?を自問する必要ありますよね。

しかし、この手の問題はどこから手を付けるべきなのかが、結構悩ましいですよね。

自分の強み、やりたいこと、やりたくないことを棚卸して、フレームワークに当てはめて考える的なものもありますが、ボトムアップでやるやり方ってなんかしっくりこないんですよね。

また、実はキャリアを真剣に考える強い動機もなく、中途半端でお蔵入りしてしまいますよね。

ただ最近お金の勉強をし始めたところ、将来の資産形成を考えたとき、キャリアを見直す強い動機になるということに気づきました。

今、お金に関するリテラシーを高めようという機運は結構高まっていると思うので、youtubeとかから見てみてほしいです。

朧気にやってみたいと思っていることに対してその計画の解像度を上げようというきっかけになったり、キャリアアップに対してのモチベーションも湧いてくると思います。

補足ですが、美濃は交通の要所で農業も豊作という恵まれた土地で、軍事拠点としての優位性もポイントとしてあったようです。

性癖的なスキルはあきらめる

単なる好奇心であると言い切った。そういえば庄九郎という男は、いったん物に興味をもった以上、じつに執念深い。好奇心が知識になるところまで調べぬく性癖を持っているようである。

国盗り物語(一~四) 合本版

庄九郎は斎藤道三のことです。

ホリエモンとか、孫正義とかが同じような性癖を持っていたと思います。

この能力、めちゃくちゃうらやましい。

ただ、これは性癖の部類だと思うので、私はあきらめます。

だって、面白そうと思っても、論文までさかのぼったり、難しい専門書とか読む気になれないです。

無理なものは無理であきらめて別の努力をします。

きついと思わない、自分にフィットした分野なりスキルを磨いていきたいですね。

システムの隙をつく戦い方

ほんじつ、京の山崎屋にいるかとおもえば、数日後には美濃の城にいる。中世のひとの交通感覚からいえば、神業といっていい。この男の神業のような行動性がかれを戦国の雄にしたのであろ

国盗り物語(一~四) 合本版

道三は行商という顔も持っていて、この時代に存在した関所を難なく潜り抜けられます。(その後信長がこのシステムを破壊)

移動の速さは圧倒的な強みなんですが、その源泉がシステムの隙をついているというところがユニークで素敵ですよね。

法律が厳密に敷かれている現代ではなかなか真似しにくいですが、社会システムの欠損をついた戦い方という観点では反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方という本が参考になると思いました。

ものすごい複雑なシステムは、未曽有の危機を生みやすい構造になっている。

だとすれば、そっちにベットしておいた方が良い。

確率論的に言えば、確率が極小だったとしても、リターンが無限大だから、期待値は無限大だろ?という考え方ですね。

で、なんでリターンが無限大か?というのを大量の文字で検証している本になります。笑

法律ではなくて、社会システムという風にとらえなおせば斎藤道三的な強みや戦い方というのも現代でも真似はできるかもしれませんね。

今のところ私は思いつきませんが、商人×戦国武将というように2つの顔を持つということはチャレンジしたいと思っています。

道三は目的から逆算してその2つを選んでいるので、うまくはいかないかもしれませんが。。。

斎藤道三の生きざまから考える哲学

宗教から人間を理解する

庄九郎は正直なところ、法華教の功力などは信じていないが、しかしこの経典が説く、生臭い「人間の現実」は信じていた。人間とは欲のかたまりだ、と経典を欠いた古代インド人は規定している。「だからこそ」庄九郎は善政を布く。百姓には水を与え、武士には禄をあたえ、能力や功績ある者には惜しみなく財物をあたえ、商人には市をたてて利を大きくしてやる。

国盗り物語(一~四) 合本版

人は群れて暮らしている。群れてもなお互いに暮らしてゆけるように、道徳ができ、法律ができた。庄九郎は思うに、人間ほど可憐な生き物はない。道徳に支配され、法律に支配され、それでもなお支配され足らぬのか神仏まで作ってひれ伏しつつ暮らしている。

国盗り物語(一~四) 合本版

斎藤道三こと庄九郎は日蓮宗の僧侶でという過去があり、法華経の経典については網羅的な知識がありました。

その知識を活用して政治であったり謀をしてきた人です。

なんでも一番好きな言葉は権謀術数とのことです。笑

ところで、日本人は宗教音痴であるというのは、皆さんも心当たりがあると思います。

だって学校でほとんど教わってないですもんね。笑

いくつか宗教に関しての書籍を読みましたが、宗教とは行動様式(エトス)であるとマックスウェーバーというすごい人が言っていました。

つまり、宗教とはその人の行動を規定するものであると。

つまりは、行動様式に対して深い理解があったと解釈すれば斎藤道三が謀を得意とするのは納得がいきますし、逆に言えばそれがなければ斎藤道三は戦国大名まで成り上がれなかったのではないかとも考えれますよね。

ちなみに、宗教についての書籍を読んでみると自分がいかに無知/無理解であるかということと、そして無理解がどれだけの偏見を生んでいるかということに気付けるのでお勧めです。

宗教学については知の巨人こと、小室直樹さんの日本人のためのイスラム原論が恐ろしくわかりやすいのでお勧めです。

こちらの本ではイスラム教を理解するにあたって、キリスト教、ユダヤ教、仏教なども網羅的かつ、わかりやすく解説してくれています。

補足ですが、「バカも集団になると力だ。それを忘れていた」という一節があり、斎藤道三も調子に乗ってミスする場面が出てきます。

そこは人間っぽいなと思い、1ミリくらい親近感がわきました。笑

サイコパスすぎるよ道三

わたしはもともと、国を奪るためにこの美濃にきた。人に仕えて忠義を尽くすために来たのではない。ただの人間とは、人生の目的が違っている。目的がちがっている以上、尋常の人間の感傷などは、御屋形様に対しては無い。

国盗り物語(一~四) 合本版

斎藤道三は美濃という土地での戦国大名になるために、御屋形様を裏切りをします。

ただ、この裏切りは突発できなものではなく彼の予定に組み込まれていたものです。

しかも親方様のことを道具に過ぎないと言ってのけます。

いやいや、サイコパスすぎるでしょ。笑

著者の司馬遼太郎曰く、道三はマキャベリズムを体現した人だそうです。

君主論 (岩波文庫)は読んだことはないのですが、彼は哲学者だと思うので彼の哲学の生き証人ということですね。

マキャベリの哲学を徹底すると、この世の中で成功を収めることはできるといことのようです。

一方、マキャベリが記述する人間像ってホントなの?に対してNOという検証をした本がありまして、これは読む価値のある本だと思います。

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 (文春e-book)

えっ?NOだとしたら、なぜ成功したの?というところは疑問ですよね。

私の理解ですので、皆さんなりに本を読んで考えてみることをお勧めしますが、、、

  • 人間は一部のサイコな人間を除けば、性善説が当てはまる。
  • なのに自分たちの善性を信じられず、ひどい人間だと思い込んでいる。
  • 思い込むとそれに準拠するようにふるまってしまう。
  • 結果として、人間の表面的な行動はマキャベリが述べていることと一致する。
  • よって、その特性を利用することで斎藤道三は成功した。

という何とも不可思議な現象ということと、私は理解しています。

なんかプロテスタンティズムと資本主義の精神みたいですね。

金儲けを否定した思想が、近代資本主義を産み落とした的な。

まとめ

今回は、斎藤道三の生きざまをあらわすフレーズから、キャリアと哲学を考えてみました。

参考図書はいずれも、超おすすめしたい本なので騙されたと思って読んでみてほしいです。

読書でキャリアを開拓しましょう!

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