外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書)
の読書録の続きです。前回、前々回は仮説検証、深堀分析をテーマにしました。
刺さったフレーズ
帰納というのは蓋然性に依存した推論です。蓋然性が高いということは、つまり「今後もおそらく今までと同じだろう」と言っているわけですが、「今までできなかったから今後も無理だろう」という思考法が、イノベーションととても相性が悪い、というのはおわかりいただけると思います。
外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書)
今までできなかったから無理だろうとか、経験側的にうまくいかないだろうとか、精緻な検討もせずに後回しにすることってありますよね。
私の性癖として、ボリュームが小さい検証(統計的優位性を担保できない)を避ける、精度の低い想定されるケースでの予測やシミュレーションを避けるなどがあります。
頑張って自己分析してみると、間違えることに対しての恐怖心があって、そのリスクが高いと想定されるような分析に対しては尻込みしてしまいがちです。
ただし、やらないという選択をすると勘と経験と度胸による意思決定がなされる可能性が高いです。
この慣習に対して一石を投じるためにデータサイエンティストがいるわけで、打席に立たないのはちょっとカッコ悪いですよね。
この記事ではネクストバッターズサークルでどんな準備をして、打席に立ってどうやってカウントを整えて、どうやってポテンヒットを打つかについて書いてみました。
スコープ×活用場面を具体化する(ネクストバッターズサークル編)
一石を投じてやるという気概は必要ですが、リスクのある分析であることに変わりありません。
そのためにはスコープを調整し、活用場面を具体化してアウトプットの価値を見込んでおくことが大事です。例えば以下の感じです。
- シミュレーションなら長期は難しいけど短期的であれば妥当な結果を出せそう、中期経営計画には使えないけど、四半期の計画には使える。
- サンプルが心もとない場合なら、XXがどの程度効果があったかは言えないけど、効果自体の有無は検証できる。予算の見積もりは難しいけど、やるやらないは判断できる。
こういったことを関係者間で検討したうえで、実施判断をしましょう。
検討の結果、期待値に届かないのが見えているならあきらめるという選択はありです。
ない袖は振れないですからね。
PDCAという伝説の剣を振りかざす(打席編、カウントを整える)
精度低いと思いますがやりますか?と問えば、「やりません」となります。
一方、はじめは精度低いですがPDCA回しながらちょっとずつ改善していきましょうといえばNOという人は少ないです。
度合いはありますが、PDCA回せばたいてい精度は向上しますし嘘でもないですけどね。
言葉のチョイスというのもありますが、分析の実行段階でPDCAフローをあらかじめ組み込んでおくことが大事です。
シミュレーションを回すなら一回きりにせずに何らかの業務と紐づけて定期的に予実検証して精度を高めていく、サンプルが少ない中での意思決定したのであればその検証を必ず入れるということを事前の約束事として入れておきましょう。
大胆に基礎集計で押し切る(打席編、ポテンヒットを打つ)
しっかり準備して、カウントを整えればたいていの場合はヒット打てます。
が、、、超高校級のピッチャーが来た場合はそれでも打てないので、バットをめちゃくちゃ短く持ってポテンヒットでもいいから、なんとかしようというケースもあります。
難しい状況というのはたいていの場合、考慮すべき変数が多すぎるという状況です。
これに対して、直球一本ホームラン狙いで多変量解析や機械学習の手法に走ってしまうと、なぜそうなったのかの説明がつかなかったり、納得感がなく空振り三振になってしまうのが落ちです。
また、モデル作成にはデータセット作成など時間もかかります。
であれば、重要な変数を決め打ちし、要因として考えたい変数と、バイアスとして影響を除外したい変数に分類して、それらを組み合わせたクロス集計で押し切るのも全然アリです。
クリーンヒットを打つのはPDCAの二打席目以降にして一打席目はポテンヒットを狙いましょう。(打てないと代打出されるからね)
まとめ
「実施が難しそうだ」ということを肌感覚として感じられることは、実力がついていることの証拠です。
現状からさらに伸びるか、伸びないかは難しい問題にチャレンジするかどうかだと思うので、機会があれば積極果敢に取り組んでいってほしいです。
一方、チャレンジには気合も大事ですが、気合いだけでは現場は疲弊してしまいますので、石橋をたたきながら着実に進めていきましょうという話をしてみました。
以上、刺さったフレーズと活用についての考察でした。読書でキャリアを開拓しましょう!
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