こんにわ!kofaです。
この本読みました。
レビュー
行動経済学に出会って、もう少し体系的に学びたいなと思って読んだ本です。
お値段的に専門書の部類に入りそうですね。笑
読み応えはありましたが、初学者の私でもわかりやすい内容でした。
人間の経験などに基づく無意識のうちになされる意思決定を類型化し、心理学的観点から、デメリット(バイアスのある意思決定)を考察しています。
データサイエンスの現場でいえば、勘と経験と度胸がいわゆるバイアスのある意思決定であり、それを是正するのがデータドリブンな意思決定と理解しています。
人間が圧倒的に不得意とするような局面では機械学習などで自動化すればよいし、人間が考える余地がある局面では仮説検証型での分析をするのが良い、という解釈をしながら読むと学びが多いと思います。
刺さったフレーズ
人間は意思決定にあたって数多くの単純化の方略や経験則に頼っていることが見いだされた。単純化の方略はヒューリスティック(heuristic)と呼ばれる。ヒューリスティックは人間の判断を無意識のうちにつかさどる標準的な規則であり、意思決定を取り巻く複雑な環境に対処するメカニズムである。ヒューリスティックは通常は有益であるが、時として深刻な過ちを招くことがある。
意思決定論―バイアスの罠
データサイエンティストはヒューリスティックを是正することで価値貢献していますが、データサイエンティストもまた人間であり、分析プロセスの中では意思決定の主体です。
ヒューリスティクスは慣例、常識、暗黙の了解など当たり前と思い込んでいることも含まれます。
今回は「仮説がちゃんと立てられれば分析はうまくいく」という当たり前に対して、メスを入れたいと思います。
言いたいことは、初期にシャープな仮説がなくても挽回は可能です、仮説がちゃんとしていても解釈が甘いとアウトプットは微妙です、の2つです。
思考の繰り返しの先にシャープな仮説は待っている
シャープな仮説は良いアウトプット出します。
ただ、初期段階からポンポン出せる人は中々いません。(というか、出せる人が既にいるなら、ビジネスうまく回っているはず、分析する必要性があんまりないです。)
では、シャープな仮説をどう作ればいいのでしょうか?
分析と対象のビジネスの両方に精通している人は出せるかもしれません。
では、なんでこの人はシャープな仮説を生み出せるのでしょうか?
それは事象やテーマに対しての累積的な思考量なのではないかと考えています。
ということは、分析者は分析結果のディスカッションを通じて思考を繰り返すしかありません。
初期に建てた仮説はこの過程を経てシャープになっていきます。
最初はこう考えていた、でも食い違うところがあった、矛盾点も包含して考えるとこう言えるのではないか?
となったら勝ちが見えてきています。
初期仮説を立てることは大事です。
でも初期仮説は糸口でしかないということもまた事実です。
糸口に対しての検証で到達するのは中間地点です。
中間地点からゴールに向かうためには、中間地点で出てきた分析結果に対してきちんと解釈し、ディスカッション、思考量を積み上げていく必要があります。
残念ながら、分析作業に入ってしまうとアウトプットを出すことにフォーカスしてしまい、解釈をないがしろにするケースはよく見かけます。
悪しき習慣だと認識し、日ごろから解釈に力を入れるようにしてください。
仮説の検証だけするという思考停止
仮説を検証するために分析をしますが、分析結果から読み取れるのは仮説の真偽だけでしょうか?
そんなことはないです。
仮説の検証さえすればよいと、思考停止していませんか?
例えば、日本のGDPはバブル以降頭打ちではないか?という仮説を考えてみます。
検証したら、(1995年までをバブル期と定義するなら)YESとなります。
それはそれでいいんですが、バブル期以降もミクロな傾向としてはギザギザに推移していて、このギザギザからは何も示唆が読み取れないんでしょうか?
なんとなく、今後どうやったらGDPを上昇させられるのか?という観点でもう少し眺めてみると、、、
- 2005年くらいから2010年の間で見ると上り調子ですが、これはなんでなのか?
- そのまま上っていく可能性はゼロだったのか?
- この期間での政策を継続すれば上昇傾向を維持できたのではないか?
というように細かく見れば新たな問/仮説が生まれます。(この問いや仮説は適当ですので、突っ込まないでください。。。)
検証する際には表なり、グラフなりをアウトプットすると思います。
そこには仮説の真偽を判断するための情報以上のものがあって、そこをきちんと読み解くことが大事です。
それをやらないのは思考停止です。
現在立てている仮説を通り一辺倒に検証していっても深い示唆を得るの難しいです。
まとめ
なんとなくですが、「仮説がちゃんと立てられれば分析はうまくいく」は、うまくいった分析の報告書を見てみると、「仮説がちゃんと立てられていた」という結果を言っているにすぎないのではないかと思います。
もちろん百戦錬磨のコンサルタントがメンバーにいて、良質な仮説をたくさん出してくれるという状況であればそれに頼るのは、プロジェクトの全体最適から言って正解です。
ただ、多くの場合限られたリソースの中で対処していくしかありません。
分析結果を読み解いて、思考を巡らせるところにもコミットしていきましょう。
以上、刺さったフレーズと活用についての考察でした。読書でキャリアを開拓しましょう!
肩慣らしにまずは読み物的な行動経済学の本を読んでみるのもお勧めです。
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